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英検とTOEICの違いとは (2016/08/02)

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日本人の英語力を測るための物差しとしての2大巨頭といえば、英語検定とTOEIC。英語検定1級といえば、通訳や翻訳家になれると言われる時代もありましたが、どちらかというと今ではTOEICのスコアが重視されるようになってきました。また、学生時代は英語検定を受けていたが、社会人になってからはTOEICを受けるようにしているという方も多いと思います。そこで今回は、英語検定とTOEICの違いについてご紹介し、それぞれの成り立ちや目的などを比較しながら解説していきたいと思います。これから、英語検定やTOEICを受けようと考えている方に、参考にしていただければと思います。

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■50年以上の歴史を持つ日本の英語検定。今ではアメリカやカナダ、オーストラリアでも認定されている
公益財団法人日本英語検定協会が実施している英語検定。始まりは東京オリンピックが開催された1964年より1年前の1963年に、日本英語検定協会が設立され、文部省の後援を受けて同年8月に第1回の英語検定試験が実施されました。東京オリンピックの開催を控え、日本の国際化に向けて英語教育の向上を図ろうとするのが目的で、当初は、1級・2級・3級の試験が設けられ、志願者数は3万人を越すほどでした。その後も、日本人の英語教育への関心が深まり、英語力の多様化や国際社会のニーズに伴い、試験の階級が細分化され、現在では、1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7段階の階級が設けられています。学生時代に英語検定を受検された方も多いと思いますが、現在でも、高校・短大・大学入試の際に、学科試験免除や点数加点、英語科目の単位認定など、学校によって取得した階級に応じて優遇措置を受ける学校もあります。また、海外の高校や大学に留学する際の英語力の証明としても活用でき、アメリカやカナダ、オーストラリアにおける約400の高等教育機関で、英語検定が認定されています。
英語検定が他のテストと比較して異なる点の一つとして、問題用紙を回収せずにテストの問題を公開しているという点です。試験後に問題用紙を持ち帰ることで、受験者が間違ったところを再確認することができるため、一度間違ったものも復習してちゃんと覚えてもらいたいという意図が垣間見えます。
このように、日本人の英語力向上のために生まれた英語試験のパイオニアである英語検定は、日本人における実用英語の普及・向上を目的に実施され続けており、今では海外の英語圏の国にも認められる試験にまでなっています。

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■TOEICテストの成り立ちと背景に日本人がかかわっている
TOEICを運営している非営利組織ETS(Educational Testing Service)は、第二次世界大戦が終わって間もない1947年に、世界中の生徒の学習サポートや教育機会の提供に注力することを目的に、アメリカで設立されました。TOEICテストは、円が変動相場制に移行し、日本経済が世界経済に認められ始めた1970年代に、日本の経済産業省(旧通産省)からビジネス英語のスキルをはかるためのテスト開発をETSに依頼したのがきっかけで、1979年に誕生しました。TOEICテストの目的には、ビジネス英語を通して日常生活の中で使われる英語を測定するといったことなどが掲げられ、第一回のテストでは、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5箇所で実施されましたが、受験者はわずか3000人あまりと、英語検定試験に比べると10分の1あまりの数でした。しかしながら、実施回数を重ねるごとに受験者数は伸びていき、1985年にはおよそ8万8000人、1990年代になってからはおよそ33万2000人、2000年以降になってからは100万人を突破するまでの受験者を抱える大規模な英語試験へと成長しました。その背景には、日本企業のグローバル化があると言われていて、日本の企業が海外進出する際の英語力向上が求められると同時に、TOEICの受験者数も同じように伸びてきました。また、TOEICが伸びてきた理由としては、英語検定が日本人全体のスキルの底上げを目的にしているのに対して、TOEICはビジネスシーンに活用できるテストであるという点が挙げられます。そして、英検は年3回の実施回数なのに対し、TOEICは年10回、IPテストを受けることができれば毎月受験できるということで、受験日の多さも受験者にとっては大きなメリットとなっています。現在、TOEICは東南アジアやヨーロッパ、中南米を中心とした非英語圏にも進出し、世界約150カ国で年間約700万人が受験するほどの規模に広がりを見せています。日本で発案され始まったTOEICが、まさに世界の共通試験にまで成長したのです。
このように、どちらの試験も日本人の英語スキルの向上という目的で生まれたという共通点がある一方で、TOEICは、ビジネスシーンで役立つ英語スキル向上という目的が加わったことで、より実践的な試験項目として誕生。それによりビジネスで求められる英語を向上するための試験として日本社会に浸透していったことで、企業からの認知が進んだという見方ができます。